旅に出るとき、私がいちばん好きなのは「ホテルに着いた瞬間」です。見知らぬ街で荷物を置いて、カーテンを開けて、外の景色を眺める。そのとき、少しだけ自分の世界が広がる気がします。先日訪れた鹿児島のホテルでも、そんな時間をゆっくり味わいました。
鹿児島の空気に触れる夜
鹿児島の街は、海と山の香りが混ざり合っていて、どこか懐かしい空気を感じます。夜になると、街の明かりが少し柔らかくなって、旅人の心をほっとさせてくれるんです。
ホテルにチェックインしたとき、スタッフの方の「お疲れさまでした」の一言が心にしみました。ほんの短いやりとりなのに、それだけでその土地に迎え入れられたような気がして。
窓の外には、鹿児島の夜景が静かに広がっていました。行き交う車のライトがゆっくりと流れて、遠くには山の稜線がぼんやりと浮かんで見える。旅先で見るその景色には、「知らない場所なのに落ち着く」という不思議な安心感がありました。
ホテルで過ごす、ひとりの時間の贅沢さ
旅の楽しみは観光だけではありません。私は、ホテルでの時間こそが旅のご褒美だと思っています。
お気に入りの飲み物を買ってきて、照明を少し落とし、静かに音楽を流す。そんな何気ない夜がたまらなく好きです。
鹿児島のホテルは、どこかやさしい空気に包まれています。スタッフの気配りや部屋の心地よさ、静けさの中にある安心感。外のざわめきが遠くに感じられるその空間で、心がふっと軽くなるのを感じました。
旅の途中で立ち止まり、自分の呼吸を整える――そんな時間をくれるのが、ホテルという場所なのかもしれません。
旅先のホテルがくれる“自分への帰り道
朝、カーテンを開けると、鹿児島の空が少し霞んでいて、遠くに桜島が見えました。夜の間に静かに降った雨のあと、街は洗われたように清々しい。
チェックアウトの支度をしながら、「このホテルも誰かの思い出になるんだろうな」と思いました。旅人が入れ替わり立ち寄っては、少しの時間を過ごして、また次の場所へ向かう。そんな小さな循環の中で、ホテルはいつも変わらずそこにいてくれる。
鹿児島の旅は短かったけれど、ホテルの灯りの中で過ごした夜は、きっと長く記憶に残ると思います。
あの静かな時間が、今の私にとっての“帰る場所”のような気がして。旅の終わりに、心の中でそっと「ありがとう」と呟きました。